管理栄養士監修:血糖値を下げる食べ方
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父が糖尿病と診断されました。食事を変えるだけでも血糖コントロールを改善できると伺いましたが具体的にはどのような食事をとるとよいのでしょうか。
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糖尿病の方は食事の取り方と摂取が血糖値改善のカギとなります。糖尿病は、血糖値をコントロールし、合併症を予防するために、食事療法が非常に重要です。
食事療法の基本は、血糖値の急上昇を避け、バランスの取れた栄養を摂取することです。
ここでは糖尿病の食事療法の主なポイントを説明します。
①炭水化物の取り方
糖尿病の食事はまず炭水化物の取り方に気をつけましょう。
食物繊維やビタミン・ミネラルの多い野菜や全粒穀物と組み合わせて消化に時間をかけることで急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。
そこでおすすめは、まず主食となるご飯を白米から分付き米や雑穀米にすることです。
白米や白パンには食物繊維がほとんど含まれておらず、急激に血糖値をあげるので出来るだけ精製していないお米を選んでください。
食べ慣れない方は白米に麦や雑穀を入れたご飯から始めてもよいでしょう。
朝食はパン派の方なら、全粒粉のパンやライ麦などのパンがおすすめです。
ただ、ほとんどパンには小麦と塩以外に油と砂糖が入っているものが多いのでこちらも量に気をつけましょう。
ご飯茶碗1杯(約150g)の白ご飯には、約55gの炭水化物(糖質)が含まれています。
なお、糖尿病患者の1食当たりの糖質量の目安は、30g〜60g程度が一般的ですが、一人ひとり活動量での適量は変わってきますので、具体的な量に関しては担当の医師・管理栄養士にご相談ください。
②食事の量とタイミング
血糖値をコントロールするためには食事の間隔を守ることが大切です。
皆さんは1日3食、食間をきちんと開けて食事をとっていますか?
最近は朝食を抜く人も増えていますが、血糖値が高くなっている方は食事をとるタイミングがとても重要です。
朝食を抜くことにより、次に食事をとるタイミングと内容によっては食後の血糖値を大きく上昇させてしまうことがわかっています。また朝食を抜いているので、昼食のカロリー量が大幅に増えて食べ過ぎてしまうケースもあります。
特に手軽に取り入れやすい菓子パン・惣菜パンや、ラーメン・丼ぶりなどの単品メニューでは、極端に野菜が少なく糖質と脂質に偏りがちです。
朝食を抜くことで問題なのは、空腹時にこのような糖質に偏ったメニューが入ってしまうと急激に血糖値をあげてしまうことです。
また、その後に夕飯前にお腹がすいたからと菓子類でお腹を満たそうとすると、血糖値が高い状況が続き血管が傷つき動脈硬化の原因となってしまうのです。
血糖値が高い方は、できるだけ時間は規則正しく、PFCバランスのとれた食事をとることが大切です。
③食物繊維で血糖値の上昇を抑える
野菜を皮ごと使用して調理することで食物繊維が大幅にアップします。1日の野菜摂取量は350g以上が目安です
葉物野菜や根菜類(じゃがいもは除く)には食物繊維が豊富で、胃や腸での消化がゆっくり進むため、糖が血液に急速に吸収されるのを防いでくれます。
また野菜の皮には、免疫力の向上・美肌・腸内環境の改善など体に嬉しい効果がたくさんあります。
具沢山のスープは栄養豊富でカロリーが抑えられるうえに、満腹感を得られやすく、食べ過ぎ防止にもつながります。
できれば野菜は無農薬のものを選び、皮ごとの調理をおすすめします。皮から煮出した野菜のスープは栄養の宝庫です。
ぜひご家庭で取り入れてみてください。
液体状の甘い飲み物は特に注意
グラニュー糖や果糖を含む液体状の飲み物は血糖値を急激にあげてしまいます。
以前、私の担当していた患者様が乳酸菌飲料がよいと聞き、毎日寝る前に1本必ず飲んでいますという方がいました。
血糖値の値がずっと高かったのですが、今飲んでいる乳酸菌飲料をやめてみるよう促したところ、ヘモグロビンA1cが有意に改善したケースもございます。
実際商品として出ている乳酸菌飲料は砂糖やブドウ糖果糖液糖入りのものがほとんどです。
このように体によかれと思って摂っていたものが実は逆効果になっていたということケースもありますので、血糖値が高い方は普段の飲み物も確認してみてください。
また乳酸菌自体は、腸内環境を整えるために有効です。
乳酸菌は加工飲料で摂らずとも、ヨーグルト(無糖)やぬか漬け、キムチなどからも取り入れることが可能です。
少しずつ日々の食生活に取り入れてみてくださいね。